傘には、生地や骨、手元など、さまざまなパーツが組み合わさってできています。
その中でも、あまり目立たないながら大切な役割を担っているのが「玉留め(たまどめ)」です。
普段は意識されることの少ない小さなパーツですが、傘を使う際の快適さを支える、重要な存在でもあります。今回は、そんな玉留めの役割や種類についてご紹介します。

玉留めは、傘を閉じたときに骨が広がらないよう、 一時的に傘をまとめておくためのパーツです。
ネーム紐(留め紐)でしっかり留める前に、 傘が開いてしまうのを防ぎ、扱いやすくしてくれます。
たとえば、混雑した場所や、軽くたたんで短い時間持ち歩くときなど、玉留めがあることで傘が広がらず、スムーズに扱うことができます。小さな部品ですが、傘を日常的に使ううえで意外と欠かせない役割を果たしているのです。
玉留めには、傘のデザインや金具の色に合わせていくつかのバリエーションがあります。
前原光榮商店では主に次の3種類を使用しています。
落ち着いた風合いが特徴で、クラシックな印象の傘によく合います。
真鍮のような温かみのある色合いが魅力です。

銀色の玉留にも、実は種類があります。
ひとつは真鍮をベースにニッケルメッキを施した玉留です。
すっきりとした明るい色味で、傘の生地の色を選ばず合わせやすいのが特徴です。現在は、楓の手元の傘に採用されています。
もうひとつは、純銀(シルバー999)で作られた玉留。
こちらは東京銀器の伝統工芸士である岩村淳市氏によって加工されたものです。銀ならではのやわらかな輝きがあり、使い込むことで表情が変化していくのも魅力のひとつです。
同じ銀色に見える玉留でも、素材や製法によってその特徴は異なります。こうした小さな部分にも、傘づくりのこだわりが込められています。

やや光沢のある仕上げで、シャープでモダンな印象になります。
真鍮ベースの部材にブラックニッケルメッキを施し、焼き付け仕上げによって独特の光沢感を生み出しています。洗練された雰囲気の傘と相性の良い金具です。小さなパーツではありますが、こうした色の違いによって、傘全体の印象もさりげなく変わります。

手元の種類によっては、この玉留め部分に名入れを施すこともできます。
イニシャルやフルネームを刻むことで、傘はより自分だけの一本に感じられます。
普段は目立たない小さなパーツですが、そんなさりげないところにも、傘づくりの楽しみがあります。

傘は多くの部品が組み合わさってできており、その一つひとつに意味と役割があります。玉留めもまた、普段は目立たない存在ですが、傘を使いやすくするための大切なパーツです。
こうした細かな部品にも目を向けてみると、一本の傘の中に込められた工夫やものづくりの面白さを、より身近に感じていただけるかもしれません。
