傘を閉じたとき、生地をまとめて留めておくための「ネーム紐」。
普段は何気なく使っている部分ですが、傘を使いやすくするための大切なパーツのひとつです。
ネーム紐にはいくつかの種類があり、傘の用途やデザインによって使い分けられています。
今回は、そんなネーム紐の役割と種類、それぞれの特徴についてご紹介します。

ネーム紐は、閉じた傘の生地をまとめて留めるための紐です。
傘を閉じた後、生地が広がらないように整え、コンパクトに持ち運べるようにする役割があります。
また、傘の外観を整えるという意味でも大切なパーツです。ネーム紐で生地をきれいにまとめることで、傘はすっきりとした美しい姿になります。使うたびに触れる部分でもあるため、使いやすさと耐久性のバランスを考えながら、傘の種類に合わせて選ばれています。
アメリカンホックは、シンプルな構造のホックです。金具をかしめることで固定する仕組みになっています。構造がシンプルで目立ちにくいため、すっきりとした見た目に仕上がるのが特徴です。
メンズ傘の場合は傘袋に入れて持ち運ぶことが多いため、このアメリカンホックが主流となっています。ただし、構造がシンプルであることから、分厚い生地などでは外れやすくなることもあります。


ばねホックは、ばねの力でしっかりと固定されるタイプのホックです。
強く留めることができるため、 生地が一番表に見えるレディース傘のネーム紐や、メンズ傘の傘袋などによく使われています。
しっかりと留まる安心感があり、繰り返しの使用にも耐えやすいのが特徴です。
ばねホックのボタン部分には、前原光榮商店の小さなトンボが刻印されているのも特徴です。


和環(わかん)は、金属の環を使って留める昔ながらの仕様です。
一見するとシンプルな構造ですが、職人の細かな手作業によって取り付けられています。ボタンに圧がかかる構造のため、使用状況によっては数年で交換が必要になることもあります。
また、この和環は関西では「美鋲(びびょう)」とも呼ばれています。古くから傘づくりの中で使われてきた、伝統的な留め具のひとつです。


日傘には、「ダブルネーム」と呼ばれるネーム紐が使われることもあります。
ネーム紐を二重にすることで、見た目のアクセントにもなる意匠性の高い仕様です。
装飾性の高い日傘では、こうした細かな部分のデザインも、全体の印象を左右する要素になるため、細かな手作業によってつくられています。


前原光榮商店のカスタムオーダーでは、基本のネーム紐だけでなく、お好みの仕様をお選びいただくこともできます。傘のデザインや用途に合わせてネーム紐を選ぶことで、より“自分好みの一本”に仕上げることができます。小さなパーツではありますが、こうした部分にも傘づくりの楽しさがあります。
普段はあまり意識されない部分かもしれませんが、こうした細かな工夫が、傘の使いやすさや美しさを支えています。
傘を見るときには、ぜひネーム紐にも少し目を向けてみてください。
一本の傘の中に込められた、ものづくりの工夫を感じていただけるかもしれません。
