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わたしたちは「傘」という字に含まれる4つの「人」は、
1. 生地を織る
2. 骨を組む
3. 手元を作る
4. 生地を裁断縫製する
それぞれ4つの分野の職人たちを表していると考えています。前原光榮商店はこの4つの技術を高め、継承してきました。

傘骨ができるまで

今回は「傘骨」をつくるという工程にフォーカスして、千葉県の河政商事さまにインタビューをさせていただきました。私たちが普段、何気なく使っている傘の成り立ちを、ぜひご覧ください。

河政商事 下田 文雄さま

河政商事 下田 文雄さま

弊社は、創業1897年の会社です。もともとは陣笠や露先、玉留といった傘の部品を製造・販売する会社でした。
そこから、今の河政のメインであります「傘骨の製造」に移り変わっていきました。
親骨や受け骨という骨にまつわるパーツを組み立てております。
現在は海外からも部品を仕入れながら、最終的に自社で仕上げて、お客さま毎の用途に合わせた傘骨を納品しています。

きっかけは、20年ほど前でしょうか。前原さんの方から「こういう傘骨を作りたい」という話をいただいたのがご縁の始まりだったと思います。
前原さんにご納品する傘骨の特徴は今に至るまでずっと変わらず、傘を支える中棒に日本産の樫を使っているということですね。
やはり一番難しいのは“木材の管理”です。自然のモノをうまく利用しなければならないので、ちょっと雨が降って湿気が多かったりすると木が太ってしまい、スムーズに傘が広がらなくなってしまいます。
反対に乾燥しすぎて木が痩せ細ってしまうとヒビが入ってしまったり、折れやすくなってしまうことがありますので、温度や湿度の管理は非常に大切になります。
こうした管理は、やはり私たちとしても非常に注意深く計算しながら、「じゃあ今日は太さはこのぐらいにしよう」など、自然のものをどれだけ丁寧にコントロールできるかがポイントになります。

傘骨ができるまで

骨傘の中棒は、主に京都の舞鶴産の樫を使用しています。
最終的には丸い棒にしないといけませんが、四角く長い角材の状態で発注し、そこからある程度の水分を抜くという工程から始まります。数ヶ月間は天日干しですね。
湿度的にもちょうど良くなってきたら、そこからゆっくりと丸くしていって、最終的にはヤスリでかけて、色をつけます。

傘骨ができるまで

そのあとは、濡れても大丈夫なようにコーティングをして傘を開くための穴をあけたり、金属をつけていきます。そのため、時期や発注数にもよりますが角材の状態から傘骨になるまで3~4ヶ月はかかります。

傘骨ができるまで

難しいのは、自然のモノを扱っていますので、日々形が変わってきてしまいます。なので、色をつけた後などさまざまな工程の間で、少しでもまっすぐにさせるための中棒の矯正を何回も行うなどしながら形にしていくというところが、非常に手間暇がかかりますね。傘骨になったあとで、傘が開かないとかっていうのが一番の問題ですので、湿度を計算したり、今までやってきたことを生かしながら丁寧に微調整をしています。

傘骨ができるまで

もう一つの特徴は、「ろくろ」という部品を開閉し骨を束ねるために骨の上下2か所に金属をつけています。近年は、海外でプラスチックをつけるのが主流とされていますが、河政では自分たちで削り溝を切って骨組みにしています。こうした特徴は、この業界では我々しかできないという自負がありますので、そういうところもやりがいに感じております。

傘骨ができるまで

最近では、軽量化などが好まれる時代ですのでアルミやプラスチックのモノに比べると木を使い、ろくろにも金属をつけるなど少し重みのある傘になります。しかし、高級感が生まれ、お客様の雨の日を楽しくさせるような「お気に入りの傘」になるよう丁寧に作っております。ぜひ、手に取って開いていただき自分にとっていいモノと思えるお気に入りの傘を見つけてもらえたら嬉しいです。

河政商事 下田 文雄さま