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美しい四季を通じて雨の多い国である日本は、古くから変動の大きな災害と作物の恵み両方を持ってくる雨と付き合いながら暮らしてきました。そのためか、日本には「雨」を表す言葉が約1200語あるといわれています。今回は、その中でも秋の雨について降り方の特徴や様々な呼び方をご紹介いたします。

秋に降る雨

秋は、梅雨時期と同様に雨量が増える時期といわれていますが、降り方は大きく違います。「秋の長雨」といわれるようにシトシトと少ない降水量で長く降り続けるのが特徴。長雨は夏の残暑を和らげ、秋の訪れを告げる準備をしてくれるため、優しい印象の名前が多くつけられています。

「蕭」という字には、もの淋しいという意味があり、しとしとと音もなく降り続くもの淋しく降る雨のこと。雨がもの淋しく降るさまを「蕭蕭」といい文語的表現で「雨蕭々」などと用いられる。

雨が降って冷気を感じること。秋の季語として使われている。梅雨時の雨でも寒さを感じることがあるが、梅雨時期の寒さは「梅雨寒」と表現を分けています。

8~9月の秋口に降る雨のこと。豆は主に大豆を指し、8月ごろに白や赤紫の花をつけます。この時期の花が適度な雨を欲しがることから、ついた名前だといわれています。大豆の花は夏に咲きますが、豆花の雨は秋の雨を指します。

細かい雨やきりさめのこと。ゆっくりとでも地上に降ってくるのが霧雨で、水滴が空中に浮いたまま漂っている状態を霧と区別されています。

陰暦7月17日に降る雨を指します。祭りの後に降る「御器洗」はお祭りで使った道具を洗い清める雨の名前ということから類推すると、「洗鉢雨」は7月13~15日までの盆の行事に使われた鉢を洗い清める雨だと考えられます。

8月下旬、富士閉山の頃に降る雨のこと。夏の登山シーズンに上った多くの人々の洗い清める雨を意味し、富士山の麓の人たちが言い出した言葉であるといわれている。洗鉢雨や御器洗などにもみられる、雨が何かを洗い清めるという目的を持って降ると考えは昔の人々がいかにモノや自然を大切に考えていたかがうかがえます。

秋に降る雨

陰暦7月7日に降る雨のこと。別名「七夕雨」ともいわれています。牽牛と織女が別れを惜しむ、あるいは会うことができずに悲しみのあまり流した涙が雨になって降っているといわれている。

秋の長雨をいう熊本県天草地方の言葉。重箱はおめでたい祝いの日に使用するものであることから、豊作を約束する願ってもない雨の意味という説がある。一方で、『故事ことわざ辞典』(東京堂出版)には、「降ったりやんだり日よりの定まらぬこと(熊本)」とあるのは、重箱の中身のように、さまざまな天気が現れることからだろうか。

宮崎県南諸県群で、たかが南へ渡るという9月末頃に降る長雨をいう。

陰暦10月の雨のこと。冬眠に入る生き物たちが、この時期の雨水を飲んで冬ごもりの支度をするということから生じた言葉だといわれている。

佐賀県唐津市では小雨、宮崎県日向市では霧雨のこと。雨粒の大きさが0.5㎜未満という細かさを猫の毛にたとえてつけられたといわれています。

秋に降る雨

いかがでしたか?
秋は雨の降り方が優しいため、つく名前にも優しい印象やロマンチックなものが多いですが、今回ご紹介したのはその中のほんの一部です。
ぜひ、さまざまな雨の名前に触れてお気に入りの名前を見つけたり、今日降っている雨はどんな名前がついているのか調べてみてください。
きっと雨の日が少し好きになるはずです。