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蔵前の下町情緒あふれる通りの一角に、季節の花々と植物の香りがやさしく漂う「蔵前花屋こめて」があります。

地域の人々に愛され続けて10年。取材に伺うと、地元のお客さんが訪れていた。今回は店主である鈴木咲子さんに、お店づくりのこだわりや花との向き合い方についてお話を伺いました。

蔵前花屋 こめて



店主の鈴木さん

店主の鈴木さん

Q. お店ではどのような商品を取り扱っているのですか?

A. 一番多くご要望をいただくのは、やはりブーケやアレンジメントですね。大人だけでなく、お子さんやご家族連れの方など、幅広い世代のお客様がいらっしゃいます。小さな手にも持てるようなミニブーケから、フォーマルなシーンで使える大ぶりのアレンジまで、“日常から特別な日まで”を花でつなぐように意識しています。

また、スワッグ(壁飾り)やドライフラワーも人気で、通販サイトでも展開しています。お子様がお父さん・お母さんに贈るプレゼントなど、身近な贈りものとして選ばれることも多いですね。

Q. お客様の層や特徴に変化はありますか?

A. 最近は男性のお客様がとても増えています。コロナ禍を経て、自宅で過ごす時間が増えたことで、「自分の身の回りを整えたい」と感じる方が多くなったのだと思います。

観葉植物や小さなサボテン、切り花を“自分のために買う”という習慣が定着し始めました。その流れでお店に立ち寄ってくださる方も多く、「自分の暮らしに植物を取り入れる男性」が増えたのは、すごく嬉しい変化ですね。

店内の様子

Q. 前原光榮商店の直営店・浅草三筋町店の店内に飾る花も手掛けてくださっていますね。

A. はい、毎週お届けしています。できるだけ季節感を大切にしつつ、前原さんの店舗のイベントや展示テーマに合わせた色味や雰囲気にしています。「毎週楽しみ」「見たことのない花が届く」と言っていただけて、本当にうれしいです。

お花の持ちが良いともよく言われますが、それはたぶん、花にとっても居心地のいい空間だからだと思うんです。人と人、場所と花の関係がうまく循環しているような気がします。

Q. お店づくりで大切にしていることは何でしょうか?

A. 地域とのつながりですね。入りやすい間口や、子どもたちでもふらっと立ち寄れる空気感を大切にしています。“買わなきゃいけない”という緊張感がないことが、このお店らしさかもしれません。

地域密着で続けてきたからこそ、お客様が「ここに来ると安心する」と言ってくださるようになりました。その信頼をこれからも大切にしていきたいです。

Q. 花束をオーダーするとき、どのようにお客様とイメージを共有されていますか?

A. 「花を贈りたいけど、どう頼めばいいかわからない」という方はとても多いです。でも、言葉にできない思いの中にこそ“その人らしさ”が潜んでいるんです。だから、まずは会話を大切にします。

例えば、「奥さまはどんな色の服をよく着ますか?」とか、「赤と白ならどちらが好きそうですか?」と、選びやすい問いを重ねていきます。そうやって少しずつ会話を重ねるうちに、“あ、この方はこういう色を選びそうだな”という感覚が見えてくるんです。

店主の鈴木さん

Q. 地域の方との関係性の深まりも感じますか?

A. はい。対話を重ねることで、お客様が自分の好みや“してほしくないこと”も素直に言えるようになります。たとえばお墓に供える花でも、「バラを入れてほしい」「菊は避けたい」といった希望を安心して伝えられるようになる。その心理的な安心感こそ、地域密着の花屋の魅力だと思います。

Q. 花を飾ることに慣れていない人が、気軽に始める方法はありますか?

A. 特別な道具はいりません。家の中には、必ず“水の溜まる器”があります。コップでもお椀でも、空き瓶でもいいんです。「この器に入る1本をください」と言ってもらえれば、それだけで十分素敵な一輪挿しになります。たとえばワインの空きボトルに花を挿したり、お花の頭だけを小皿に浮かべるのもかわいいですよ。そうした小さなきっかけが、「自分でも飾ってみよう」という気持ちにつながります。

Q. 花束をもらった後の楽しみ方についても提案されていますか?

A. 贈りものとして受け取った花をそのまま飾るのが一番簡単ですが、器がなければ一度バラして小分けに飾ってもいいんです。「壊してはいけない」と思う方も多いですが、部屋ごとに1本ずつ飾ることで、空間全体が明るくなります。お花は“楽しむためのもの”なので、自由に使ってほしいですね。

花束

Q. 長年お花と向き合ってきて、どんな魅力を感じますか?

A. 花は何も言わないけれど、そばにいてくれる存在です。落ち込んだ日も、うれしい日も、ただそこにいてくれる。そして、有機的なものに触れることで人は癒される。どんなに無機質なものが流行しても、心の奥では自然を求めていると思います。花はその中でも最も身近で、すぐに手に取れる“有機物”なんです。

Q. 最後に、これから大切にしていきたいことを教えてください。

A. どんなに時代が変わっても、花は人の暮らしと切り離せません。だからこそ、「気軽に花を楽しめる場所」であり続けたい。地域の方がふらっと立ち寄れて、ちょっと心が和らぐ。そんな“日常の中の小さな癒し”を、これからも咲かせていけたらと思います。

花束

■今回取材したお店

蔵前花屋こめて

東京都台東区蔵前3-18-1-101
TEL:03-3866-5287
営業時間:
月曜日 10:00~18:00
火曜日 定休日
水曜日 10:00~18:00
木曜日 10:00~18:00
金曜日 10:00~18:00
土曜日 10:00~18:00
日曜日 10:00~15:00
ホームページ:https://comete.jp/
Instagram:
https://www.instagram.com/cometecome/

店主の鈴木さん

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